ヨ-キ-説 
ヨークシャー・テリアは1800年代初頭にテリア系の小型犬とマルチーズなどの混血により作出された比較的新しい犬種で、一般家庭で飼育されるようになったのは原産国イギリスに於いても戦後の事である。
犬種名はヨークシャー地方に由来し、一般に「ヨーキー」の愛称で呼ばれる。

ヨークシャー・テリアは元来、ヨークシャー地方の炭坑や織物工場でネズミを駆除するために飼育されていた犬であるが、改良の過程では7kgもあったと言われており、小型化のために複数のテリア種との交配が試みられた。...
骨格や被毛から見て、スカイ・テリアやマンチェスター・テリアの影響が強いが、基礎犬は織物職人たちがスコットランドから持ち込んだウォーターサイド・テリアであると考えられている。
ヨークシャー・テリアは織物職人によって改良された歴史をもつため、絹糸状の長い被毛は織機によって作られたものだと噂され、見せ物にされた事もある。

被毛の美しい小型テリアの完成により一躍愛玩犬として注目を集めるようになり「動く宝石」と形容され富裕層のペットとして大流行した。
以来、婦人の抱き犬として人気が高く、世界中で最も知名度の高い犬種として定着している。

ヨークシャー・テリアは1861年にブロークンヘアー・スコッチ・テリアの名称でイギリスのドッグショーで紹介され、1870年以降ヨークシャー・テリアと呼ばれるようになり、1886年イギリスKCにより公認された。

ヨークシャー・テリアの被毛は長さが貴ばれた時代があり、ひきずるように伸ばされていたが、近年は地面に達する程度でカットされる。
当時は爪で掻いて被毛を痛めないよう肢に靴を履かせる習慣があった。
他の犬種に比べ、被毛の良否(毛量・毛質・長さ・色調)がきわめて重要視される。
生後2~3ヵ月までの被毛は黒く、3~4ヵ月頃から頭部が砂色を経て褐色になり始める。
ボディの被毛がスティール・ブルーに変わるには1年以上を要する。
成犬になると長く真直ぐな被毛が体の両側に垂れ、毛の分け目は鼻から尾先まで続く。
ヨーロッパのドッグショーではヨークシャー・テリアに限り特別な台に乗せて被毛を評価する習慣がある。

ヨークシャー・テリアはサイズや外貌からアクセサリー的愛玩犬と思われがちであるが、テリア気質は健在で、活気と自尊心にあふれた、きわめてエネルギッシュな犬である。
「目で話す犬」と言われるように表情豊かで明るく、知的で感覚鋭敏、気品を備えコンパクトで堂々とした風格を持つ。
体高と背線の長さが同じ位が釣り合いが良い。
我が国では皇太子妃の実家で飼育されていた事により、一時的に人気を呼び、流通価格が高騰した事がある。

ヨ-クシャ-テリアは被毛が命

被毛
COLOUR
 KC標準では、「ボディの毛はほどよい長さで、完全に真直ぐで、(not wavy,ウェ-ブしていない)絹のように光沢があり、毛質は繊細な絹糸状(fine silky texture)である」。FCI標準書は「ボディの部分はかなり長く、完全に真直ぐで(ウェ-ビ-でない)、光沢がある。立派な絹糸状の毛質であり、ウ-リ-(羊毛状)でない。中略」とあり、その本意は同じ。毛が細く、しなやかで、薄い高級な絹織物のように滑らかで腰があり、羽二重のような艶と手触りでなければならない。重要視さ
れる毛色の完全性は、完全な毛質のみに求められるものだ。
 被毛の状態は外毛(オ-バ-コ-ト)でけの単層毛シングルコ-トだ。犬科の標準的な外毛と下毛のある二重層毛ダブル・コ-トではない。人の衣に例えるならば、絹布の一重のものを羽織ったのがヨ-キ-だ。
 体中の被毛は、毛髄が発達悪く体の末端部の毛では毛髄を欠く。このような被毛状態のため、毛によ穂温性は極めて貧弱だ。また毛周期は原始的な毛状のイヌと異なり、季節的な換毛はなく、毎日少しず脱換する随時な換毛で、二年近く伸び続けたという報告もある。人による動物の改良すなわち育種は、動物の本来の生態や生理を変化させる。改良の進んだ緬羊では、8年間も毛が伸び続けるのを当然としている品種があるほどだ。